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KURIBAYASHI SOGO

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英文契約書の一般条項の解説

英文契約書の一般条項の解説
英文契約書では、ほとんどすべての契約書においてGeneral Provision(一般条項)の規定があります。内容は当事者がどの契約書のサンプルを用いたかによって多少の違いがありますが、多くの場合共通の条項が用いられています(各条項の内容は契約ごとに微妙に異なってきます)。英文契約書を作成したり、理解するためには、General Provisions(一般条項)にどのような内容が記載されているのか理解しておくことが不可欠です。

Whreas条項

Governing Law(準拠法)

whereasは、as(~なので)と同一の意味です。契約書では通常、冒頭の当事者の記載の後に、Whereasに続けて契約締結に至った経緯や契約の目的が説明されます。慣習としてWhereasが文頭に置かれることが多いため、このような条項をwhereas clause(whereas条項)と呼ぶことがあります。Whereasを使う代わりに、recitalsというタイトルの下に、契約締結の経緯を説明することもあり、recital条項と呼ばれることもあります。英米法では、契約が有効に成立するためにconsideration(約因)の存在が求められるため、上記のように契約締結の背景が記載されると説明されます。英米法圏以外においても、契約の背景を記載してどういう契約なのかということを説明することが必要な場合もあり、そのような場合に都合が良いことからwhereas条項が広く使われているとも説明されます。効力については、whereas条項は、契約書の前文の一部であり、本文ではないとして法的な拘束力を有するものではないと一般的には言われています。契約書への記載方法としては、WHEREASと記載されることもあればWhereasと記載されていることもあります。

Consideration(約因)

NOW, THEREFORE, in consideration of mutual promises and covenants as hereunder set forth;
A and B agree as follows:

(訳)そこで、ここに、本契約に定める相互の約束と誓約を約因として、AとBは次の通り合意する。

英米法では、Consideration(約因)のない契約は有効とならず、訴訟を通じて契約の強制執行を行うことができません。契約書においては通常、「in consideration of(~を約因として)」のように記載され、契約の当事者が相互に相手方に対してどのような義務を負うかが記載されることになります。例えば、売買契約であれば、商品の引渡しの約束と、代金支払いの約束とが約因となります。商標使用許諾契約であれば、商標の使用許諾と使用料(royalty)の支払いとが約因となるでしょう。この互いの義務は、必ずしも互いに金銭的に同価値である必要はなく、通常負う必要がない義務を双方が負う場合には約因があると認められることになります。例えば、売買であれば、代金が通常に比べて著しく低額であったとしても約因は認められ、契約は有効に成立することになります。

また、「in consideration of」は契約書の文脈によっては、「約因として」というよりも、「対価として」という意味で使われていることもあります。例えば、「In consideration of the Services, A shall pay to B the amount of six thousands US Dollars.(そのサービスの対価として、AはBに対して、6,000米ドルを支払う。)」というように記載されている場合です。

Notice(通知条項)

Any notice or communication from one party to the other shall be in writing and either personally delivered, sent via facsimile, overnight courier or certified mail, postage prepaid and return receipt requested addressed to such other party at the address specified below.  All notice shall be in English and shall be effective upon receipt.

(訳)当事者の一方から他方に対する全ての通知又は連絡については、書面により、個人的に手渡しで行うか、ファクシミリ、オーバーナイトクーリエ、又は郵便料金前払いで配達証明付の証明郵便により、下記に記載された相手方の住所宛てに送付される。全ての通知は英語により、受領によって効力が生じる。

契約上、相手方に対する通知が重要な効果を持つ場面があります。例えば、契約の解除の通知、売買契約で検収後一定期間内の通知が要求されている場合の通知(クレーム提起)、契約の自動更新条項がある場合の更新拒絶通知などがあります。そのような場合には、通知がいつ到達したかが重要な意味を持つのであり、本条項のように通知の方法、通知先、通知の効力発生日を規定しておくことになります。通知の方法としては、手渡し、郵便、FAXなどがあり、また通知先については、大規模な組織の場合には担当部署まで記載しておくことが円滑な通知がなされるために必要です。通知の効力発生日については、上記のような通知が重要な効力をもつ場合には、いつ通知が到達したかを巡って争いになることがあることから、郵便発送の3日後に受領したこととみなすなどのみなし規定を設ける場合もあります。さらに、3日後のような日数を設ける場合は、営業日だけを基準にするのか(”business day”)、土日祝日(”calendar day”)を含めるのかも定めておく必要があります。

Force Majeure(不可抗力)

Neither party shall be liable for failure to perform its part of this Agreement if and to the extent such delay or failure in performance arises from any cause or causes beyond the reasonable control of the party affected (Force Majeure), including, but not limited to, act of God, acts of government or governmental authorities, compliance with law, regulation or orders, fire, storm, flood or earthquake, war, rebellion, revolution, or riots, strike or lock-out.

(訳)何れかの当事者の債務の遅滞又は不履行が、不可抗力、政府または政府機関の行為、法令・規則・命令の遵守、火災、嵐、洪水、地震、戦争、反乱、革命、暴動、ストライキ、ロックアウトを含むがこれに限らず、影響を受ける当事者の合理的なコントロールを超えた原因(以下「不可抗力」という)によって生じた場合には、その履行が出来なかった当事者については債務不履行の責任を負わない。

不可抗力は当事者のコントロールの範囲を超えた原因を言います。不可抗力によって債務の履行が出来なかった場合には、債務不履行の責任を負わないとされています。日本法上、当事者の責めに帰すべき事由により債務の不履行があった場合に債務不履行の責任を負うとされていますが、これと同じような考えに基づくものと思われます。

不可抗力については、各原因を具体的に記載する場合と、一般的に不可抗力の場合は責任を負わないという程度に記載されている場合があります。また、不可抗力による場合には当然に責任がないとする場合と、不可抗力の発生を相手方に通知することを要求し、一定期間を超えてその効力が継続する場合には、他の適切な方法を講じるとか、相手方は契約を解除できると記載する場合など、いくつかのバリエーションがあります。

また、金銭債務の履行については、通常の不可抗力事由があるからと言って債務の支払を免れることができないとしている場合もありますので、注意を要します。

最近は日本でも大地震が頻発していますので、地震を理由とする不可抗力が生じる場合も十分考えられます。但し、地震によって自分の会社が被災したのではなく、原料の供給先から原料の供給を受けることが出来なかったような場合にも不可抗力と言えるかどうかははっきりしない点があります。

Waiver(権利放棄)

A waiver by a party hereto of any particular provision hereof shall not be deemed to constitute a waiver in the future of the same or any other provisions of this Agreement.

(訳)本契約の当事者の一方が本契約の特定の条項について権利の放棄をしたとしても、これは、同一条項についての将来の権利、又は本契約上の他の規定に関する権利を放棄したものとはみなされない。

契約当事者の一方が契約上有している権利を行使しない場合、そのような権利不行使の事実が度重なるなど一定の事情があると、禁反言(estoppel)などを理由として、権利を放棄したものとみなされ、本来認められるはずの権利行使が認められない場合があります。そのような理論のもとで、当事者の一方が権利行使をしなかった場合に、相手方からの、権利行使をしなかった当事者に対する安易な権利放棄または喪失の主張を防ぐために、権利放棄条項(no waiver)を定めておくことになります。例えば、契約の相手方が契約条項に違反すると、契約に基づいて、相手方に対して一定の請求等を行うことができる権利がもう一方の契約の当事者に与えられます。その場合に、請求権等を有する側が、例えば1回目の違反だからということで相手方に対して請求権等を行使しなかったが、2回目の相手方の違反の際には請求権等を行使したところ、相手方が、1回目の違反の際の請求権等の不行使によって、請求権等を有する側は将来の違反に対する請求権等を放棄したものであるなどと主張することが考えられます。そのような相手方の主張を許さいないということを示すところに権利放棄条項を置く意味があります。

No Agency:Independent Contractors(エージェントでないこと、独立契約者)

The parties hereto are independent contractors, and neither party shall be an agent or a representative of the other party.

(訳)本契約書の当事者はいずれも独立した契約者であり、いずれの当事者も相手方当事者のエージェント又は代表ではない。

契約当事者は独立した契約者であり、契約によって、相互に相手方に対して代理権を与えたり、ジョイントベンチャーやパートナーシップを成立させたりするものではないことを契約上で確認することがあります。これは、契約関係が生じることによって、あたかも契約当事者間に代理権、ジョイントベンチャー、パートナーシップ関係が存在するかのように見られ、契約の一方当事者が行った言動について、代理権等に基づいて契約の他方当事者が責任を負うかのように第三者から主張されることがあるため、そのことにより予期しない債務や責任を契約当事者が負担することを防止するためです。特に、販売店契約やライセンス契約等によって契約当事者間に継続的取引関係が生じると、その傾向は一層強くなります。例えば、販売店が、販売促進を図るために、メーカーや供給者に無断で、同人らが約束していない保証が商品に対して与えられているように表明することがあります。また、販売店が、メーカーや供給者から販売権を与えられている商品以外の商品についても販売する権限を有しているように第三者に伝えることもあり得ます。さらにライセンシーがライセンス生産に必要な原材料を第三者から購入する場合に、材料の購入についてライセンサーが連帯保証人になると第三者に対して説明するようなこともあるかもしれません。

Governing Law(準拠法)

Governing Law(準拠法)

This Agreement shall be governed by and interpreted in accordance with the laws of Japan.(本契約書は日本法に準拠し、解釈される。)

準拠法の合意
準拠法をいずれの法にするかは重要です。例えば日本の会社とアメリカの会社の間で契約を締結する場合において、準拠法が日本法とされていれば、契約書に記載のない事項については日本の法律に従って判断されますし、契約の文言や取引慣行からして不明な事項が生じた場合には、日本の法律に従って判断されます。日本の会社としては、自分の国の法律についてはある程度知識を有していますので、契約書に記載のない事項についてもどのように解釈すべきかについてある程度の予測がつくことになります。一方、準拠法をニューヨーク州法とした場合、日本の会社からすれば自分たちの知らない法律の適用があるかもしれないわけですので、かなり不利益となります。

多くの契約書では、法廷地(jurisdiction)と準拠法は同じ国となることが多いと思われますので、日本法が準拠法とされている場合は、日本の裁判所が管轄を有するとすることが多いと思われます。但し、法廷地と準拠法は必ずしも一致しなければならないわけではありませんので、日本法が準拠法とされながらも、法廷地(管轄)についてはニューヨーク州とされることもあります。

当事者間で互いに自国の法律や管轄を主張する場合には準拠法や管轄について合意ができません。この場合、管轄については、第三国とする(例えば日本とアメリカの紛争であるが、裁判についてはシンガポールの裁判所で行うなど)こともありますが、準拠法については、当事者の国のいずれかになると思われます。

契約締結過程においては、最初に契約書のドラフトを作成する側が自分たちの国の法律を準拠法とする内容のドラフトを作成し、相手方に提示してきますので、これを変更することはかなり困難です。従って、契約書の作成については相手方当事者に丸投げし、「まずそちらで契約書のファーストドラフトを作成してください。」というのは好ましくなく、できるだけ自分たちでファーストドラフトを作成することが好ましいと思われます。

国際私法の適用
準拠法の合意についての法的拘束力をどのように解釈するかは、法廷地の裁判所の所属する国の国際私法によって定められることになります。
例えば、当該訴訟が日本の裁判所に対して提起された場合は、日本の国際私法である「法の適用に関する通則法」(「通則法」)により解釈されることになります。そして通則法7条は、「法律行為の成立及び効力は当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。」と定めていますので、準拠法に関する当事者の合意は有効ということになります。

また、当事者による準拠法の選択がなされていない場合は、「法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による。」(通則法8条)とされています。大部分の国際取引における契約書においては、準拠法についての規定がなされると思いますので、当事者が選択した法が適用になり、その選択がなされていない場合は際密接関係地の法が適用になることになります。

但し、いくつかの例外がありますので注意が必要です。
例えば、不動産に関する契約については不動産所在地の法が準拠法となり、会社の発行する株式の引受に関する契約においては当該会社の設立準拠法が株式引受契約書(subscription agreement)の準拠法となるのが一般的です。特許のライセンスにおいても、その特許が登録された国の法律が準拠法になると考えられます。

同様に、裁判地の法が強い関心を持つ法領域があり、そのような法領域に属する事項については、準拠法に関する合意が適用になりません。そのようなものとして、一般的なものは消費者契約に関する特例(通則法11条)、労働契約の特例(通則法12条)などがあります。

Arbitration(仲裁)

【サンプル1】
All disputes, controversies, or differences that may arise between the parties hereto out of or in relation to or in connection with this Agreement shall be finally settled by arbitration in Tokyo, Japan pursuant to the Commercial Arbitration Rules of the Japan Commercial Arbitration Association.

(訳)本契約により生じた、又は本契約に関する本契約上の当事者間における全ての紛争、論争、意見の食い違いについては、国際商事仲裁協会の仲裁規則により、仲裁によって解決されるものとする。

【サンプル2】
1  All disputes, controversies, or differences that may arise between the parties hereto out of or in relation to or in connection with this Agreement shall be finally settled by arbitration in Tokyo, Japan, in the English language pursuant to the Commercial Arbitration Rules of the Japan Commercial Arbitration Association.

2  The arbitration shall be conducted by a single arbitrator selected by the parties, provided, however, that if the parties fail to agree upon a single arbitrator within thirty (30) calendar days after the demand for arbitration, then it shall be conducted by an arbitration panel consisting of three (3) members, one appointed by each party and the third appointed by the first two members.

3  All direct costs of the arbitration proceedings under this Article, including fees and expenses of the arbitration, shall be borne equally by the parties. All other costs, including counsel and witness fees, shall be borne by the party incurring them.

(訳)
1 本契約により生じた、又は本契約に関する本契約上の当事者間における全ての紛争、論争、意見の食い違いについては、国際商事仲裁協会の仲裁規則に従って英語で、仲裁によって解決されるものとする。

2  仲裁は、当事者によって選任された単独の仲裁人によっておこなわれるものとする。ただし、仲裁の請求後30暦日以内に当事者が単独仲裁人に合意できないときには、仲裁は、3名の仲裁人によって構成される仲裁機関によっておこなわれるものとする。その場合、各当事者が各1名の仲裁人を指名し、両2名の仲裁人が第3の仲裁人を指名するものとする。

3  本条に基づく仲裁手続きのすべての直接費用は、仲裁人の報酬と仲裁費用を含めて当事者が均等に分担する。弁護士費用、承認の費用等、他のすべての費用は、当該費用を生じさせた当事者が負担する。

仲裁合意
仲裁によって当事者間の紛争を解決するという本条項のような仲裁合意が当事者間に存在する場合には、契約当事者間で生じた特定の紛争について仲裁手続によって解決を図ることができます。

承認・執行
仲裁手続きの結果なされた仲裁判断については、裁判所の確定判決と同一の効力があるとされており、裁判所による執行決定(仲裁法46条)という手続を経たうえで、通常の裁判所の判決と同様に強制執行を行うことができます。

国際取引に関わる紛争において、取引の相手方が外国に所在しており財産が相手国にある場合においては、得られた仲裁判断をどのように執行するかということが問題になります。この点については、「外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約」(いわゆるニューヨーク条約)(Convention on the Recognition and Enforcement of Foreign Arbitral Awards)によって、条約締結国(加盟国数は150カ国以上)は、外国の仲裁判断を承認・執行することが求められているため、相手方の所在国がニューヨーク条約加盟国であるならば、同条約に基づいて、仲裁判断の強制執行を行うことができることになります。ただ実際の執行手続きについては条約締結国がそれぞれ定めることとされているため、実際の承認・執行においては各国の手続きに従うことになります。

仲裁手続
仲裁機関ごとにそれぞれ仲裁規則を定めていますが、仲裁手続きを利用する当事者はどの仲裁規則に従って仲裁手続きを行うかを選択することができます。例えば、アメリカ仲裁協会(American Arbitration Association(AAA))において仲裁手続きを行う場合であっても、パリの国際商業会議所(International Chamber of Commerce(ICC))の仲裁規則や国連国際商取引委員会(UNCITRAL(United Nations Commission on International Trade Law))の仲裁規則を適用することができます。また、仲裁手続きにおいては、当事者が合意した言語を使用することができます。
なお、仲裁手続において、アメリカなどで裁判上認められるような懲罰的損害賠償やディスカバリー、証拠提出命令を命じることができることが仲裁人の権限として契約上規定されることもあります。

仲裁人の選任
仲裁における手続きの主催者は当事者によって選任される仲裁人です。仲裁人の人数は、3名または1名であることが多いと思います。裁判手続きとは異なり、仲裁人の費用を含めて仲裁手続きに関する費用を当事者が負担することになることから、1名の仲裁人による場合には費用を抑えることができること、また仲裁人が1名であれば仲裁人の予定を押さえやすく、比較的迅速に仲裁手続きを進めることができることなどの利点はあります。ただ1名の仲裁人の選任について当事者が合意できないこともあり、その場合は仲裁機関に仲裁人を指名してもらう方法などによって仲裁人を選任することを規定しておきます。
なお仲裁人の人数が2名では、仲裁人の間で仲裁判断に関する意見が異なる場合に判断不能になるおそれや、仲裁判断がなされたとしても両当事者共に納得のできないものである可能性があります。
仲裁人が3名の場合の選任方法としては、当事者双方が1名ずつ仲裁人を指名し、指名された2名の仲裁人が残りの1名を選任するという方法があります。当事者の一方が指名を行わない場合は、仲裁機関に仲裁人の指名を委ねると規定することによって、仲裁手続を利用することができなくなる不都合を回避することもできます。

仲裁人の報酬については、多くの事例においてタイムチャージで計算されることになります。有名な仲裁人であれば、その報酬金額は1時間あたり5万円から10万円程度(多い場合は20万程度)となりますので、
3人の仲裁人の報酬は1時間あたり15万円から30万円というのが通常です。
もし、仲裁手続に100時間を要すると、仲裁人の報酬だけで1500万円から3000万円となります。
このように、国際仲裁の場合の仲裁人の報酬は極めて高額ですので、仲裁条項を定める場合は、そのような高額の報酬の支払いを了解し得るかどうか、事前に検討いただく必要があります。

仲裁場所の選択
仲裁場所の選択も仲裁条項の規定において注意すべき点です。仲裁場所を巡って当事者間で合意が困難な場合は、被申立人の所在地や、第三国の仲裁機関を仲裁場所とすることもあります。ただ、被申立人の所在地を仲裁場所とした場合でも、例えば、被申立人が申立人の所在地に子会社を有しており、その子会社も契約の当事者となっていたような場合に、申立人がもっぱらその子会社を相手方として、申立人の所在地でもある子会社の所在地において仲裁申立てを行うことが考えられます。
そのような可能性に備えるために、例えば、次のように申立人がどちらの当事者の場合かに応じて、それぞれ特定の仲裁場所を設定しておくこともあります。
The place of arbitration shall be Tokyo, Japan if arbitration is brought by A, or Paris, France, if arbitration is brought by B.
仲裁地は、仲裁がAによって申し立てられたときは東京とし、仲裁がBによって申し立てられたときはパリとする。

契約の内容によっては、特定の産業界に関わるものもあり、そのような業界ごとに独自の仲裁機関を有している場合がありますが、そのような仲裁機関を利用する場合などには、契約締結後に仲裁機関が消滅する可能性も考慮しておく必要があるかもしれません。そのような可能性が想定されるのであれば、代替する仲裁機関を予め定めておくことも有用となります。

本案訴訟・保全処分との関係
仲裁合意が存在する場合には、通常は裁判所に本案訴訟を提起することはできないことになります(仲裁法14条)。ただし、仲裁合意がある場合であっても、裁判所に仮処分等の保全処分を申し立てることが必要となる場合もあります。例えば、契約の相手方が秘密保持条項に違反して秘密情報を遺漏する恐れがある場合に、その違反行為の差止めを裁判所に対して申し立てることが必要となります。そのような場合において、仲裁条項の存在に関わらず上記のような仮処分の申立てをすることができることを規定することにより明確にしておくこともあります(仲裁法15条)。

また、契約書の文言上は、裁判管轄の合意は契約に関する事項に限られることが多いと思われます。一方、不法行為による請求の場合の管轄裁判所については、裁判地の国際私法において不法行為地又は結果発生地とされることが多いと思われます。そこで、仲裁条項の存在によって訴訟提起が妨げられる場合(妨訴抗弁がなされた場合)においても、契約違反ではなく、不法行為による損害賠償請求として訴訟提起することにより、国際裁判管轄を取得することができます。

Entire Agreement(完全な契約)

This Agreement constitutes the entire agreement between the parties pertaining to the subject matter contained in it and supersedes all prior and contemporaneous agreements, understandings, representations and communications. No supplement, modification, or amendment of this Agreement shall be binding unless executed in writing by both parties.

(訳)本契約書は、本契約書に含まれる本件に関する事項についての当事者間の完全な合意であり、従前の又は契約締結と同時に行われた全ての契約、理解、表明、コミュニケーションに取り代わるものである。本契約書の追加、修正、変更については、両当事者が書面に調印しない限り拘束力を有しない。

Entire Agreement(最終性条項)の目的は、契約書の作成に至る過程における契約当事者による了解、合意その他の一切の口頭であると文書であるとを問わずなされた契約書に記載されていない事項については、契約内容とはならないことを確認するものです。これは、契約締結後に契約書に記載のない事項の主張を許したのでは、当事者間で契約書を作成した意味がないことから、契約書に記載のない事項の主張を妨げることにより紛争の予防という契約書作成の目的を実効あらしめるためのものです。最終性条項は、契約書作成と同時、または作成前になされた契約書の内容と矛盾する当事者間のやりとりについては原則として証拠として認めないという英米法の口頭証拠排除の原則(parol evidence rule)に基づくものであるとされます。よって、もし契約書に記載されていない事項、または契約書に記載されているかどうかが契約書の文言上からは必ずしも明らかではない事項があると考えるならば、契約の当事者としては、そのことを明らかにし、相手方に条項の修正を求める必要があります。または場合によっては、追加補足了解事項(additional undertakings and understanding)として、別途、契約条項の解釈についてなどの確認を目的とした書面をレター形式で作成することもあります。このようなレター形式であれば、契約書のフォームを変更せず、簡単な手紙形式で契約書の補足が可能なために広く利用されています。
また、契約締結後に上記のような契約書を修正する場合には、別途変更契約を書面で作成し当事者が署名をすることになります。通常、最終性条項には、その第2文として、契約内容の変更方法について定める修正・変更条項(amendment and modification)が置かれています。このような最終性条項、修正・変更条項によって、上述のように、契約書外でなされたやりとりについての主張を許さず、紛争予防という契約書作成の目的を達成しようとしています。

Assignment(譲渡)

Neither party hereto shall, without the prior written consent of the other party, assign, transfer, or encumber its rights under the Agreement to a third party, or assign or transfer its obligations to a third party.

(訳)いずれの当事者も、相手方当事者の事前の書面による同意がある場合を除き、本契約書による権利を第三者に譲渡、移転、質入れしてはならず、本契約上の義務を第三者に譲渡又は移転してはならない。

契約上発生する権利の移転、義務の移転、契約上の地位の移転について、相手方の同意なしに行ってはならないことを定める規定です。
契約は、通常双務契約であり、一方当事者は他方当事者の力量や資金力、信用力を信頼して、取引関係に入ります。ところが、相手方当事者が契約上発生した権利や契約上の地位を第三者に一方的に移転させてしまうことができるとすると、一方当事者は契約当初に想定していた人と全く違う人を相手に取引せざるを得なくなって不当に損害を蒙ってしまう可能性があります。そこで、契約上発生した権利や義務、契約上の地位について相手方当事者の了解なしに第三者に譲渡したり、移転したりすることができないことを定めておく必要があります。
但し、事業譲渡や会社分割など将来的な組織再編の可能性があることが想定される場合には一定の例外規定を設けたり、権利移転の同意を不条理に留保することはできない旨を定めておくことも考えられます。

Severability(可分可能性)

Should any provisions of this Agreement be held by a court of competent jurisdiction to be invalid or unenforceable, the remaining provisions shall remain valid and shall not be affected in any case. When any provisions of this Agreement infringe any laws of the Territory or the country of the parties hereto, the parties shall forthwith negotiate for necessary amendment. The validity of this Agreement shall not be affected by the provisions that infringe the laws.

(訳)本契約の何れかの規定が管轄権のある裁判所により無効または執行不能と判断された場合においても、残りの規定については依然有効であり、如何なる場合であっても影響を受けない。本契約書の何れかの規定が領域内における又はいずれかの当事者の国における法律に違反している場合、当事者は必要な修正について協議する。本契約書の有効性については、法律違反の規定によって影響を受けない。

Severabilityとは、契約の一部の条項が準拠法の通用や強行法規の通用によって無効となっても、その他の規定の効力に影響を与えないことを明らかにするものです。例えば、A国の法律を準拠法とする契約でA国での法律上20%の貸付利息をとることが合法だったとします。
このような場合であっても当該貸付が日本国内で行われる場合には日本の貸金業法や利息制限法、出資法が強制適用されますので、当該時貸付利息に関する部分については契約条項が無効とされる可能性があります。
しかし、このような場合においても、当事者の意思としては、その他の条項については依然として有効であり、当事者は契約の拘束力に服することを希望していることが多いと思われますので、そのような当事者の意思に基づき、違法と判断された以外の条項については、可能な限り、当初の契約内容に近い形で解釈され、契約の効力を最大限生かしていこうというのがこの条項の趣旨になります。

Headings(タイトル)

The headings of the Articles and paragraphs in this Agreement are for the purpose of convenience only and shall not restrict or affect the construction of the provisions herein.

(訳)本契約の条又は項に付されたタイトルは参照の便宜のためだけのものであり、本契約書の規定の構成を制限したり、これに影響を与えるものではない。

契約の各条項の初めにタイトルをつけて契約書を読みやすくするように工夫がなされることがありますが、この場合のタイトルは読みやすくするために追加されたものにすぎませんので、契約条項の解釈に影響を与えるものではないということをあえて分かりやすく記載したものです。

Language(言語)

This Agreement shall be executed in English and in Japanese, but in the event of any inconsistency between the two versions of this Agreement, English language prevails in all respects.

(訳)本契約書は英語と日本語で調印される。本契約書の二つのバージョンの間に齟齬がある場合には、全ての点において英語版が優先するものとする。

本条項のように、日本語と英語など、複数の言語版の契約書が作成され、それぞれに署名がなされることがあります。
例えば、当事者の所在地の政府に許認可の申請のために契約書を提出する必要がある場合などには、政府が現地の言語によって作成された書類しか受け付けないことがあります。そのような場合には、現地の言語を含めた複数の言語版の契約書を作成することが必要になりますが、言語の違いからそれぞれの契約書の内容が異なっていることもあり得ます。

そのような場合に、優先する言語を規定しておくことによって、言語の違いから生じる内容の齟齬の問題に対処することができるようになります。もっとも、必ずしもこのような規定が常に有効となるとは限りません。
例えば、外国で合弁事業会社を設立する場合に、設立のために政府に届け出る会社の定款を現地の言語で作成しなければならないとすれば、合弁事業契約書上は英語を優先する言語としているとしても、実際に政府に届け出た現地語の定款の規定内容が、これと矛盾する英語版契約書の条項に事実上優先することになってしまいます。

対策としては、予め、現地の言語のみではなく、英語による定款も作成して合弁事業契約書に添付しておくことなどが考えられます。

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