Force Majeure条項の記載例について教えてください

Force Majeure(不可抗力)とは

Force Majeureの意味
Force Majeure(不可抗力)とは、当事者の合理的支配権(コントロール)の範囲を超えた原因を言います。不可抗力によって債務の履行が出来なかった場合には、債務不履行の責任を負わないとされています。不可抗力の事由としては、戦争や大規模の地震などがあります。通常不可抗力が問題となるケースはありませんが、今回発生した東日本大震災のような場合には、被災地については不可抗力事由が発生したとみなされるケースが多くあると思われます。日本法上、当事者の責めに帰すべき事由により債務の不履行があった場合に債務不履行の責任を負うとされていますが、これと同じような考えに基づくものと思われます。

 

不可抗力の場合の責任

不可抗力については、各原因を具体的に記載する場合と、一般的に不可抗力の場合は責任を負わないという程度に記載されている場合があります。また、不可抗力による場合には当然に責任がないとする場合と、不可抗力の発生を相手方に通知することを要求し、一定期間を超えてその効力が継続する場合には、他の適切な方法を講じるとか、相手方は契約を解除できると記載する場合など、いくつかのバリエーションがあります。また、金銭債務の履行については、通常の不可抗力事由があるからと言って債務の支払を免れることができないとしている場合もありますので、注意を要します。
 

地震やエピデミックを理由とする履行不能

最近は日本でも大地震が頻発していますので、地震を理由とする不可抗力が生じる場合も十分考えられます。但し、地震によって自分の会社が被災したのではなく、原料の供給先から原料の供給を受けることが出来なかったような場合にも不可抗力と言えるかどうかははっきりしない点があります。また、感染症の流行(エピデミック)についても、エピデミックにより輸出が禁止され輸出できないなど、不可抗力に当たる場合があります。一方で、エピデミックの場合でも、不動産賃貸借における家賃の支払いが不能となるわけではありませんので、エピデミックを理由に賃料の支払を拒むことはできません。同じエピデミックであっても債務の内容により不可抗力に当たる場合と当たらない場合があるということになります。

不可抗力(Force Majeure)の契約条項のサンプル - 1

下記の例は、Force Majeure(不可抗力)についての一般的な記載例です。何が不可抗力に当たるのかを明確にし、不可抗力が生じた場合には、債務不履行の責任を負わないことを規定しています。但し、不可抗力事由が生じた場合に当事者が何をすべきかなどが明確にされていませんので、不可抗力が生じた場合の行動指針としては不十分と考えられます。また、不可抗力を理由とする契約解除が可能かどうかなど不明な部分も多くあります。

Neither party shall be liable for failure to perform its part of this Agreement if and to the extent such delay or failure in performance arises from any cause or causes beyond the reasonable control of the party affected (Force Majeure), including, but not limited to, act of God, acts of government or governmental authorities, compliance with law, regulation or orders, fire, storm, flood or earthquake, war, rebellion, revolution, or riots, strike or lock-out.

(訳)何れかの当事者の債務の遅滞又は不履行が、不可抗力、政府または政府機関の行為、法令・規則・命令の遵守、火災、嵐、洪水、地震、戦争、反乱、革命、暴動、ストライキ、ロックアウトを含むがこれに限らず、影響を受ける当事者の合理的なコントロールを超えた原因(以下「不可抗力」という)によって生じた場合には、その履行が出来なかった当事者については債務不履行の責任を負わない。
 

不可抗力(Force Majeure)の契約条項のサンプル - 2

下記の例は、不可抗力事由が何であるかを明確にし、不可抗力が生じた場合に債務不履行の責任が生じないことを明確にしています。また、不可抗力の生じたことを通知する義務について規定しています。但し、契約解除の可否は明確ではありません。

The failure of a Party to perform its obligations due to war, strikes, uprising, fire, flood, explosion, earthquake, government regulations, or other causes beyond control of a Party (“Force Majeure”), except for monetary liabilities, shall not constitute a breach of this Agreement, provided that all diligence is exercised to overcome such Force Majeure and resume performance, and the time for performance by such Party shall be extended by a period of any such delay. Labor disputes shall not be deemed as Force Majeure. In any event, the Party affected by Force Majeure shall notify the other Party of the occurrence of Force Majeure, the details of Force Majeure, the period the Force Majeure is anticipated to continue, and other information immediately after the occurrence of any Force Majeure.

(訳)金銭債務の支払いを除き、戦争、ストライキ、騒擾、火災、津波、爆発、地震、政府の規制、その他当事者のコントロールを超えた事情(以下「不可抗力」という。)により、当事者の債務の履行がなされなかった場合、本契約の債務の不履行を構成しない。但し、かかる事情を乗り越えられるよう注意を払うものとし、履行時期は延長されるものとする。労働争議は不可抗力とはみなさない。不可抗力事由の影響を受けた当事者は他方当事者に対して不可抗力事由の発生とその詳細、不可抗力事由が継続するとみなされる期間、その他の情報を、不可抗力事由の発生後ただちに通知するものとする。

不可抗力(Force Majeure)の契約条項のサンプル - 3

下記の契約条項は、不可抗力事由を定め、債務不履行責任を負わないことを明確にするだけでなく、当事者による通知義務や契約解除についても明確に定めていますので、当事者の権利義務が明確であると言えます。

Neither party shall be liable in any manner for failure or delay in fulfilling all or part of this Agreement and/or any Individual Contract (excluding payment obligations), directly or indirectly, owing to acts of God, governmental orders or restrictions, war, threat of war, war-like conditions, hostilities, sanctions, mobilization, blockades, embargoes, detentions, revolutions, riots, acts of terror, looting, strikes, lockouts, plagues or other epidemics, fires, flooding, or any other causes or circumstances beyond the control of the party relying on this Section (hereinafter referred to as “Force Majeure”); provided, however, that the party so affected shall give to the other party prompt notice of such Force Majeure and use its best efforts to minimize the effect of such Force Majeure. In the event of the continuance of any Force Majeure cause, without interruption, for a period of two months or more, either party shall have the right to terminate this Agreement upon notice to the other party in writing.

(訳)直接または間接的に、不可抗力、政府の命令又は規制、戦争、戦争の恐れ、戦争状態、敵国の攻撃、制裁、戦時動員、戦時封鎖、通商停止、抑留、革命、暴動、テロリズム、略奪、ストライキ、ロックアウト、伝染病又はその他のエピデミックス、火災、洪水、本条項に依拠する当事者のコントロールを超えたその他の事象又は状況(以下、「不可抗力」という。)によって本契約又は個別契約の全部または一部についての債務不履行又は履行遅滞が生じた場合は、いずれの当事者も責任を負わない。但し、不可抗力の影響を受ける当事者は不可抗力について直ちに他方当事者に通知し、かかる不可抗力の効力をできるだけ少なくするような最大限の努力を行うものとする。不可抗力事由が引き続き2か月以上継続する場合、いずれの当事者も他方当事者に文書で通知することにより本契約を解除することができる。

不可抗力(Force Majeure)の契約条項のサンプル - 4

不可抗力が生じた場合に常に契約解除できるとすると当事者に予期せず損害を生じさせてしまうことがあります。そこで、不可抗力の生じた場合であっても契約解除事由とするのではなく、契約の履行期限を延期させるだけであり、不可抗力事由がなくなった場合には、再度契約の履行をしてもらうということを明確にしておくことも考えられます。下記の例は不可抗力を契約解除事由としない場合の契約条項の例です。

The occurrence of an event which materially interferes with the ability of a Party to perform its obligations or duties hereunder which is not within the reasonable control of the Party affected or any of its Affiliates, and which could not with the exercise of Diligent Efforts have been avoided (“Force Majeure Event”), including, but not limited to, war, rebellion, earthquake, fire, accident, strike, riot, civil commotion, act of God, inability to obtain raw materials, delay or errors by shipping companies or change in Law, shall not excuse such Party from the performance of its obligations or duties under this Agreement, but shall merely suspend such performance during the Force Majeure Event. The Party subject to a Force Majeure Event shall promptly notify the other Party of the occurrence and particulars of such Force Majeure Event and shall provide the other Party, from time to time, with its best estimate of the duration of such Force Majeure Event and with notice of the termination thereof. The Party so affected shall use Diligent Efforts to avoid or remove such causes of non-performance as soon as is reasonably practicable. Upon termination of the Force Majeure Event, the performance of any suspended obligation or duty shall without delay recommence. The Party subject to the Force Majeure Event shall not be liable to the other Party for any damages arising out of or relating to the suspension or termination of any of its obligations or duties under this Agreement by reason of the occurrence of a Force Majeure Event.

(訳)本契約に基づく一方当事者の義務または責務の履行を実質的に妨げる事象が、影響を受ける当事者やその関連会社の合理的な管理の範囲外で発生し、相当な注意義務を履行しても避けることができない場合(以下、「不可抗力事象」という。)であっても、当該当事者は本契約に基づく義務や責務の履行を免除されることはないが、不可抗力事象が発生している間、これらの義務の履行を一時的に停止するものとする。不可抗力事象には、戦争、反乱、地震、火災、事故、ストライキ、暴動、内乱、神の行為、原材料の入手不能、運送会社による遅延またはミス、法律の変更が含まれるが、これに限定されない。不可抗力事象を受けた当事者は、他の当事者に対し、当該不可抗力事象の発生および詳細を速やかに通知し、随時、かかる不可抗力事象の期間についての最新の見込みを提供し、その収束について通知するものとする。影響を受ける当事者は、合理的に実行可能な限り速やかに、当該不履行の原因を回避または除去するために相当な努力を行うものとする。不可抗力事象が収束した場合には、延期された義務または責務の履行は遅滞なく再開されるものとする。不可抗力事象を受けた当事者は、不可抗力事象の発生を理由とする本契約に基づく義務または責務の停止または終了に起因または関連する損害について、他の当事者に対して責任を負わないものとする。
 

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