Termination(契約解除条項)について教えてください

Terminationとは

Terminationとは契約の有効期間の途中で、契約解除により契約の効力を終了させることです。契約期間の満了により契約終了をexpirationと言いますので、期間の満了による契約終了(expiration)と期間の途中における契約の解除(Termination)を分けて使うのが通常です。

Terminationの3類型

Terminationについては3つの類型に分類できます。第1が、理由のない契約解除の場合です。例えば、ライセンサーが、正当な理由の有無にかかわらず、その独自の判断でいつでも契約解除できるとする場合や、メーカーが、理由なしにいつでも販売店契約を解除できると規定される場合になります。第2は、相手方に債務不履行がある場合に、一定の猶予期間(grace period)を設けて債務不履行の是正を催告し、その期間中に是正がなされない場合に契約解除する場合です。契約解除ができる場合を、重大な債務不履行事由(Material Breach)がある場合に限定するパターンと、契約解除について相手方当事者の重大な債務不履行事由(Material Breach)の存在を必要としない場合があります。第3は、相手方当事者が倒産状態に陥ったり、相手方当事者に信用不安が生じた場合で、催告なしに直ちに契約解除できる場合になります。

Termination Without Cause

理由なしに、一定期間の事前通知を行うことで、いつでも契約解除できるパターンがあります。このパターンは契約の拘束力を著しく減縮したり、相手方の地位を不安定にさせることがあります。相手方当事者から理由のない契約解除の条項の提案があった場合には、そのような条項を削除するよう求めるべきかどうかを慎重に検討する必要があります。
(例)
Either party may terminate this Agreement for any reason or no reason on giving the other party not less than 60 days' written notice.
(訳)
いずれの当事者も、相手方当事者に対して60日以上の事前の文書による通知を行うことで、理由のありなしに拘わらず、本契約を解除することができる。

Termination(契約解除)の理由

契約の途中解除については、一定の事象(解除事由)が生じた場合に、一定の猶予期間(grace period)を設けて解除事由の治癒を行うよう努力させ、それでも治癒ができなかった場合に契約を解除する場合と、一定の解除事由が生じた場合には直ちに解除する場合があります。また、解除事由が生じた場合に、相手方による解除通知によって解除の効力が生じる場合と、解除通知なしに直ちに解除の効力が生じる場合があります。英文契約書の作成を行う場合には、解除事由に応じてこれらを使い分けて記載する必要があります。
 

Material Breach

日本の民法においては、従前相手方に債務不履行が生じた場合には、相当期間の通知を出してそれでも瑕疵の治癒ができない場合には解除できるとされていましたが、民法の改正により重大な契約違反が生じた場合にのみ契約解除できるとされました。そこで、Material Breachとそれに該当しない契約違反の境界線はどこにあるのかが問題となってきます。

一定の猶予期間を与えて契約解除する場合の記載例 - 1

一般の解除事由の場合は、重大な解除事由が生じた場合でも直ちに契約解除できるとするのではなく、一定の期間(grace period)を置いた通知を行い、その期間中に債務不履行の治癒ができない場合に始めて契約解除できるとするのが一般的です。
(例)
In the event that either party hereto should commit a material breach of and/or gross negligence of its obligations under this Agreement and if such defaulting party has not cured such breach and/or negligence not later than sixty (60) days after having received a written notice of breach and/or negligence from the non-defaulting party, the non-defaulting party shall have the right to terminate this Agreement forthwith by giving a written notice of termination to the defaulting party at any time within thirty (30) days after the lapse of said sixty(60) days.
(訳)
一方の当事者が本契約に定める義務について重大な契約違反を犯し、又は重大な過失を犯した場合、契約違反をしていない当事者からの契約違反又は過失についての文書による通知を受領した後60日を超えない期間内に違反当事者がその違反及び過失を改善しない場合、契約違反をしていない当事者は、上記60日の期間の経過後30日以内に、違反又は過失を犯した当事者対して文書による解除通知を送ることによって、直ちに本契約を解除することが出来る。

一定の猶予期間を与えて契約解除する場合の記載例 - 2

(例)
In the event either party fails to fulfil any of its obligations hereunder and fails to remedy any such default within forty-five (45) days after service of notice from the other party requiring correction thereof, this Agreement may be terminated forthwith by the other party by giving written notice to the defaulting party.
(訳)いずれかの当事者が本契約上の義務に違反し、相手方当事者からの訂正通知を受領した後45日以内にかかる債務不履行の治癒ができなかった場合、本契約書は、相手方当事者が債務不履行当事者に対して文書による通知を行うことで直ちに契約解除することができる。

一定の解除事由が生じた場合に直ちに契約解除できる場合の記載例 - 1

相手方当事者が破産したり、清算手続きに入ったり、債権者による財産管理の状態に入った場合は、契約の存続をさせておくことは無意味となりますので、瑕疵を治癒するための猶予期間(grace period)を置くことなく、直ちに契約を解除させることができるとするのが合理的です。従って、一般の解除については、一定の猶予期間を持った通知を行い、その期間中に債務不履行の治癒ができない場合に始めて契約解除することができるとされるのに対し、これらの事由が生じた場合には、直ちに契約解除できるとすることになります。
(例)
In the event that either party hereto should become adjudicated bankrupt, go into liquidation, receivership, insolvency or trusteeship or make an assignment for the benefit of creditors of such party, the adversely affected party hereto shall be entitled to terminate this Agreement forthwith by giving a written notice of termination to the defaulting party provided however that the adversely affected party shall be relieved from its obligation to give such notice if the defaulting party is unable to receive such notice.
(訳)
一方の当事者が破産宣告を受けたり、清算人、管理人、管財人が選任されたり、または当該当事者の債権者の利益のために資産の譲渡が行われる場合、不利益を被った相手方の当事者は、債務不履行当事者に対して文書による解除通知を送ることで、直ちに本契約を解除することができる。ただし、債務不履行当事者がかかる通知を受領することが出来ない場合、不利益を被った当事者はかかる通知を送付する義務を負わない。

一定の解除事由が生じた場合に直ちに契約解除できる場合の記載例 - 2

(例)
Either party may forthwith terminate this Agreement by giving written notice to the other party if any one of the following events occurs to the other party:
(1) appointment of a trustee or receiver for all or any part of the assets or property of the other party; or
(2) insolvency or bankruptcy of the other party; or
(3) dissolution or liquidation of the other party by resolution or by law; or
(4) substantial change of management or suspension of business of the other party, or assignment of its assets or business to any third party, whether voluntarily or by compulsion of law.
(訳)
いずれの当事者も、相手方当事者に対して次のいずれかの事由が生じた場合、相手方当事者に対して文書による通知を行うことで、直ちに本契約を解除することができる。
(1) 相手方当事者の財産又は資産の全部または一部について、管財人又は財産管理人の選任がなされた場合
(2) 相手方当事者が債務超過または破産となった場合
(3) 会社の決議又は法律により、解散又は清算がなされた場合
(4) 自発的であるか法律の適用によるかに拘わらず、相手方当事者の経営陣について重大な変更が生じ又は相手方当事者の事業が停止され、又は資産又は事業が第三者に譲渡された場合

Change of Controlによる契約解除

ライセンス契約や販売代理店契約などは、相手方当事者との信頼関係を基に契約を締結するものです。これに対し、相手方当事者にM&Aがなされて経営支配権の移動があった場合には、新しいオーナーが自分たちのライバル企業であったり、秘密を知られたくない企業であったりすることもありますので、契約解除ができないとすると、契約当事者は重大な損害を被る可能性が出てきます。そこで、相手方当事者の支配権の移動(Change of Control)があった場合には、契約解除できるとしておくのが合理的です。
(例)
In the event that (1) a change in ownership of either party hereto occurs which results in a change in the controlling interest of such party to an unrelated entity, due to merger, acquisition, sale, restructuring or regrouping involving in whole or in part such other party, or (2) either party makes a material change in the nature of its business activities, and either such change has a material adverse effect on the ability of such party to perform its obligations under this Agreement, the other party hereto shall have the right to terminate this Agreement forthwith by giving a ninety (90) day written notice to the involved party or its legal successor and such involved party or its successor shall have the right to cure such default in the ninety (90) day period.
(訳)
(1)いずれかの当事者について、支配権の移動が生じ、合併、買収、事業譲渡、当該当事者の全部一部に関連する再編や、資産再構築などによって、当該当事者の支配権が無関係の企業に移動になり、または(2)いずれかの当事者が事業活動の性質を大きく変更し、かかる変更が本契約における義務を遂行する当該当事者の能力に重大な悪影響を及ぼす場合、相手側当事者は、変更に関与している当事者あるいはその法定承継者に対して90日前に通知書を送ることによって、本契約を直ちに終了させる権利を有する。また、変更に関与している当事者あるいはその法定承継者は、90日以内に義務不履行を改善する権利を有する。
 

契約解除の効果

契約が解除された場合の効果や、解除後における当事者の権利義務について定めておくことで、解除が生じた場合の当事者の権利義務が明確となります。
(例)
Any termination of this Agreement pursuant to any provisions of this Article shall be in addition to, and shall not be exclusive of or prejudicial to, other rights or remedies, if any, that the non-defaulting or adversely affected party has hereunder or legally on account of any default, action or occurrence on the part of the other party hereto.
(訳)
本条に基づく本契約の解除は、債務不履行を犯していない当事者、又は悪影響を受ける当事者が本契約書に基づき、又は債務不履行当事者の債務不履行、行為、又はその出来事によって法的に取得する権利や救済策(もしあれば)に追加されるものであり、これらの権利や救済策を排除するものではない。

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