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業務委託契約における費用を依頼者の負担とするには

業務委託契約の種類

外国企業との間において、業務委託契約を締結する場合は、英語による業務委託契約書を作成する必要があります。業務委託契約は、受託者が委託者から委託された業務を行い、委託者が委託した業務の対価として受託者に対して報酬を支払う契約です。英文契約書においては、業務委託契約は、次のような名前で呼ばれます。

  • 業務委託契約(Entrustment Agreement)
  • コンサルタント契約書(Consulting Agreement)
  • 請負契約(Contractor Agreement)
  • 開発委託契約(Development Agreement)
  • サービス契約(Service Agreement)
  • 委任契約(Engagement Agreement)

業務委託契約における費用の発生

業務委託契約に関しては、様々な費用が発生します。一つは、契約書の作成や、契約交渉、契約書の調印に関する費用です。これには印紙税なども含まれます。業務委託契約自体を完成させるために発生した費用になります。もう一つは、委託された業務の遂行の過程で発生する費用です。外注費、専門家の費用、通信費、交通費、宿泊費などが考えられます。外国企業との間において業務委託契約を締結する場合には、これらの費用をどちらの当事者が負担することになるのかを明確にしておく必要があります。依頼者の側としては、業務の遂行過程で発生する費用については、委託者から受託者に支払われる報酬の中に含まれていると考えている可能性もあります。反対に、受託者の側からすれば、受託者の報酬は、受託者に帰属する利益として支払われたものであり、業務の遂行過程において生じた費用については、委託者の側で支払うのが当然であると考えている可能性もあります。

業務委託契約における費用負担

業務委託契約は、委託者からの依頼により、委託者の利益のために行われるものですので、本来は委託者がこれらの費用を負担するのが原則です。しかし、契約作成や、契約調印に係る費用については、まだ契約締結前の段階であり、契約締結に至るかどうかも不明であることから、各自負担とするのが公平であるとも考えられます。また、業務の遂行の過程で発生する費用については、報酬の中に含まれている場合もあります。この場合、委託者は、報酬という名目で、費用の支払いを行っていますので、実際に発生する費用については、報酬の中から受託者の側が支払うべきであるとも考えられます。従って、業務遂行の過程で発生した費用についても、委託者側の負担とする場合もありますし、受託者側の負担とする場合もあります。どちらの場合であっても、契約書の中で明確に定めておかないと紛争の原因となる可能性があります。

費用を委託者の負担とする契約条項のサンプル1

The Client shall pay all reasonable put-of-pocket expenses incurred by the Contractor in connection with the performance of its services hereunder.

(訳)クライアントは、本契約におけるサービスの履行に関連して請負業者が負担したすべての合理的な費用を支払う。

(解説)委託者が費用を支払うという場合に、payを用いて表現するのが最も一般的です。「委託者が支払うものとする」として委託者の支払義務を記載する場合は、The Client shall payという形で助動詞のshallを用います。委託者は、clientとか、単にcompanyと表現されることが多くあります。受託者については、contractor、service provider、consultantなど、状況に応じて様々に表現されます。

費用を委託者の負担とする契約条項のサンプル2

The Client shall pay Service Provider any and all reasonable costs and expenses incurred by the Service Provider, including but not limited, travel expenses, accommodation, meals, in connection with the performance of its services.

(訳)依頼者は、旅費、宿泊費、食費を含め、サービスの実施に関連して、サービス提供者が負担したすべての合理的な費用および支出をサービス提供者に支払う。

(解説)クライアントが、サービスプロバイダーに、費用を支払うという形で、サービスプロバイダーと費用の両方が目的語となるSVOOの文型(第4文型)となっています。この場合、サービスプロバイダーと費用という二つの目的語は、前置詞を取らずに、動詞の後に並べられることになります。このサンプルでは、including but not limitedを入れることで、具体的な費用の例示をしています。Including but not limitedはあくまで例示ですので、これに限らず、あらゆる費用が含まれる(支払いの対象となる)ことになります。

費用を委託者の負担とする契約条項のサンプル3

All costs and expenses incurred in connection with this Agreement shall be paid by the Company.

(訳)本契約書に関する一切の費用及び支出については、会社が支払う。

(解説)委託者や受託者という人ではなく、費用や支出を主語にした表現です。物が主語になる場合は、動詞は受動態で表記されます。すなわち、「費用や支出は~される」という受動態の文書になります。費用を支払うという意味で、payは最も一般的な動詞になります。

費用を委託者の負担とする契約条項のサンプル4

The Client shall bear all expenses in connection with the performance of its services under this Agreement including the fees payable to subcontractors or other professionals.

(訳)依頼者は、下請け業者やその他の専門家に支払われるべき報酬を含め、本契約に基づくサービスの提供に関する全ての費用を負担する。

(解説)だれだれが費用を負担するという場合の動詞として、bearが使われることがあります。上記のサンプルでは、「依頼者が負担する」という内容になります。受託者が支払った費用については、いったん受託者が立て替えて支払い、その後清算する場合も含まれますので、依頼者が支払う(pay)だと、直接払いの場合を指し、費用の清算を行う場合が含まれないのではないかと思われることもあります。そこで、「費用を支払う」という表現ではなく、「費用を負担する」というのが、実態に近いとも考えられます。

費用を委託者の負担とする契約条項のサンプル5

The Client shall reimburse the Contractor any expenses paid by it pursuant to this Agreement.

(訳)依頼者は、本契約に基づき受託者が支払った全ての費用を償還するものとする。

(解説)費用については、いったん受託者の側で支払いが行われ、委託者がそれを償還するというのが実態に即している場合が多くあります。そこで、payやbearに代えて、reimburse(償還する)という動詞が用いられることも多くあります。上記の文例は、SVOOの第4類型で記載されています。従って、償還する(reimburse)が伴う目的語には、the Contractor(受託者)とany expenses(全ての支出)の両方が並べて記載されています。目的語である費用(expenses)の後にあるpaid by itは、「受託者によって支払われた」という意味です。名詞の後に過去分詞がおかれているのは、過去分詞の後置構文という文法になり、過去分詞がその前にある名詞を修飾することになります。

費用を委託者の負担とする契約条項のサンプル6

The Contractor shall be entitled to receive prompt reimbursement for all reasonable expenses incurred by the Contractor during the course of providing the service under this Agreement.

(訳)受託者は、本契約に基づくサービスの提供の過程で受託者に発生した全ての合理的な費用について速やかに償還を受ける権利を有する。

(解説)受託者が費用の支払いを受ける場合に、pay、reimburseに代えて、償還を受ける権利を有する(be entitled to receive reimbursement)と記載することも考えられます。これは、償還を受けるとか、支払を受けるではなく、権利を有することを定めたものです。

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