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販売代理店契約におけるマージンの定め方を教えてください

販売代理店契約とは

販売代理店契約は、サプライヤーが販売代理店(ディストリビューター)を販売代理店に指名し、販売代理店はサプライヤーから供給された商品やサービスを販売する契約です。英文販売代理店契約は、国際的な販売代理契約において使用されますので、通常の場合、サプライヤーの所属する国と、販売代理店(ディストリビューター)の所属する国が異なることになります。販売代理店は、海外から仕入れた商品やサービスを自らの名前で指定された地域における顧客に販売することになります。

販売代理店のマージン

販売代理店は、サプライヤーから供給される商品やサービスを自らの名前で仕入れ、これを自らの名前で顧客に販売します。従って、仕入れ値と販売価格の差額がマージンとなって、販売店の収入になります。例えば、1万円で仕入れた商品を1万3000円で販売した場合、仕入れ値と販売価格の差額である3000円が販売代理店の収入となります。もし、1万円で仕入れた商品を1万2000円で販売する場合には、販売代理店が取得するマージンは2000円ということになります。このように、販売代理店は小売価格を自ら決定することができるのが原則ですが、小売価格の決定の仕方によっては利益が増えることもあれば利益が減ることもあります。

コミッションとの違い

販売代理店契約と似たものとして、代理店があります。代理店は、サプライヤーに対して顧客を紹介し、サプライヤーと顧客との間において契約が成立した場合に、紹介料としてコミッションをもらう契約です。サプライヤーの側からすれば、自らは活動をしないでも自分の商品やサービスの販売先を紹介してもらえるというメリットがあります。代理店の側としては、自らは何らのリスクを負うことなく、紹介のみで手数料が入りますので、メリットが大きいと言えます。但し、一般的には、販売代理店の取得するマージンに比べて、コミッションの料率は低くなります。代理店は、販売代理店のような在庫リスクや顧客から損害賠償請求されるリスクなどを負担しないからです。

ディスカウントレートの設定

販売代理店契約書の中では、ディスカウントレート(discount rate)についての規定がされることが多くあります。サプライヤーは通常の場合に適用している小売販売価格を価格表として有しています。消費者や小売店に販売する場合の一般的価格が記載されています。販売代理店はサプライヤーが有する価格表から一定のディスカウント(割引)を適用した価格で仕入れることができます。例えば、小売価格が1万円の商品があり、ディスカウントレートが30%であるとすると、販売代理店の仕入れ価格は7000円ということになります。これを販売代理店が1万円で顧客に販売した場合、販売代理店は3000円の利益を得ることができます。販売代理店のディスカウントレートについての定めは次のようになります。

The price of the Products and discount rates applied to the Distributor shall be determined pursuant to the price list in effect on the date when the order is placed, unless otherwise set forth in the Individual Agreement. Both Parties may change the price list with mutual agreement.

Discount Rate
Product A: 30%
Product B: 40%

(訳)本製品の価格は、個別契約により別段の定めをしない限り、注文がなされた時点で有効な価格表によって決定する。両当事者は、当該価格表につき、相互の合意で変更することができる。

ディスカウントレート
製品A:30%
製品B:40%

値引き販売

販売代理店が、サプライヤーの定めた価格表に基づいて商品を販売しないといけないのか、あるいは価格表の価格に拘束されずに自由に小売価格の設定ができるのかは、販売代理店契約書の定めによることになります。サプライヤーの側からすれば、販売代理店に安売りをされて、自社製品のブランド価値を棄損されるといけませんので、できるだけ販売価格を拘束したいと考えます。一方、販売代理店の側からすれば、少しでも安い価格で販売しないと競合会社の販売する製品に価格の点で負けてしまいますので、最大限の自助努力を行い、コストを削減することで、小売価格を安くしたいと考えます。そこで、販売代理店契約書の中で、小売価格に対する拘束があるのかどうかは商売的には極めて重要な意味を有してくることになります。但し、日本の独占禁止法では、再販売価格の指定は、価格拘束を生み出し、エンドユーザーに不利益を与えるものであるとして、違法であるとしています。従って、海外製品を販売する日本の販売代理店としては、再販売価格の指定は独占禁止法に違反するもので認められないと主張することになります。このような主張は、販売代理店契約書についての契約交渉の段階で行う必要があります。

再販売価格の指定を回避する方法

外国のサプライヤーからすれば、再販売価格を指定することが独占禁止法に違反し認められないものであることはすぐにわかりますので、直接再販売価格を指定したり拘束したりするのではなく、実質的に再販売価格を拘束し、安値での販売がなされないようにするための様々な規定が挿入されてくることになります。例えば次のような規定は、再販売価格を直接拘束するものではありませんが、できる限り安売りがなされないようにするための契約条項になります。

Upon Supplier’s reasonable request, Distributor shall disclose the resale prices of the Products to Supplier. If any reasonable opinion is given by Supplier regarding the resale prices, Distributor will take such opinion into consideration upon setting the resale prices. In any case, Distributor shall make its best efforts to maintain competitive prices of the Products and not to set such prices that may degrade the brand image of the Products.

(訳)販売店は、サプライヤーの合理的な求めがあったときは、本商品の再販売価格をサプライヤーに開示するものとする。販売店は、サプライヤーから再販売価格について合理的な意見があった場合は、その設定においてこれを考慮するものとする。販売店は、いかなる時も、本商品について競争力のある価格を維持し、また本商品のブランドイメージを低下させる価格を設定しないよう、最大限の努力をするものとする。

ディスカウントレートの決定方法

日本企業が海外のメーカーやサプライヤーと販売代理店契約を締結する場合に、どの程度のディスカウントレートを適用するかは極めて重要な問題となります。このディスカウント分が販売代理店の利益となるものだからです。低いディスカウントレートが定められた場合には、販売代理店は一生懸命販売努力をしても利益が出ないということになってしまいます。そこで、販売代理店契約書についての交渉を行う際には、ディスカウントレートをいくらにするかが最も重要な交渉ポイントということになります。多くの販売代理店では、これまでビジネスを行ってきた経験から、どの程度の割合であれば利益が出るのかを感覚的に経験していると思います。例えば、仕入れ価格が7掛けであれば当社の販売システムでは十分に利益が出るというようなものです。しかし、ディスカウントレートは理論的にはどのようにして決定されるのかを理解していないことも多いと思われます。ディスカウントレートの決定については、複数のアプローチがあります。

原価率による計算

仕入れ価格を原価率で割ると、販売価格が出ることになります。最低販売数量が達成できたときの仕入れ価格を6000万円であるとします。最低購入数量が1万個で原価率(売り上げに対する仕入れ原価の割合)を0.6とすると、販売価格は次のようになります。このような計算によって導き出される販売価格が市場において十分に競争力があるものかどうかを考えることになります。

6000万円(最低販売数量時における仕入価格)÷1万個÷0.6=1万円(販売価格)

コストアプローチ

仕入れ価格や販売価格をコストの側から逆算して計算する方法です。コストアプローチともいわれます。例えば仕入価格が6000万円とする場合に、販管費、宣伝広告費などのコストの合計額は3000万円となり、利益を1000万円見込むとすると、コストの合計額は6000万円+3000万円+1000万円=1億円となります。そこで、仕入れ個数が1万個であるとすると、1億円÷1万個で、1個当たりの販売価格は1万円となります。

マーケットアプローチ

これは市場における販売価格から計算して、いくらで仕入れなければならないのかを計算する方法です。例えば、競合品と比較して競争力のある製品価格(市場で売却可能な市場価格)が1個当たり8000円の場合で、人件費、宣伝広告費、輸送料、保管料などの経費の合計が1個当たり2500円であるとすると、8000円―2500円=5500円/個が上限の価格ということになります。ここに販売代理店の利益や在庫リスクなどを加味して、仕入れ価格を決定します。サプライヤーとの間では、このような価格での仕入れを交渉し、それを上回る価格しか提示してくれない場合は、交渉決裂として取引をあきらめるということになります。利益の出ない取引をすることのリスクが大きすぎるからです。

事業計画書の作成

上記の通り、仕入れ価格をいくらとするかの計算においては様々な計算方法がありますので、これらをしっかり計算してサプライヤーと交渉に臨む必要があります。実際には複数の計算方法から算定して、納得がいく仕入れ価格を確認することになります。また、販売代理店契約書を締結する際には、そのようにして計算された根拠をきちんと書面で残しておくためにも、事業計画書の作成が重要です。例えば、1個当たり1万円の製品を1万個売り上げる場合、販売価格は合計で1万円×1万個=1億円になります。その際の仕入れ原価を1個当たり6000円とすると、仕入れ価格の合計は6000万円となります。そこから経費として人件費、宣伝広告費など3000万円とし、最終的な収益を1000万円とするものです。会社の稟議を通すためにはこのような事業計画書を作成して、ディスカウントレートが適切かどうかを検証してみる必要があります。

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