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Faxによるサインは有効ですか?

英文契約書の原本の作成

英文契約書は最低2人の当事者により作成されますが、各当事者は自分が署名した契約書の原本を有していないと、将来裁判などが生じた場合に、当該契約が有効に成立したことの証明ができないという不都合が生じる可能性があります。そこで、英文契約書については、当事者の数だけ複数の原本(サインされたオリジナルの文書)を作成し、全当事者が署名した後、契約当事者の各自が1通ずつ原本を保管するというのが原則となります。契約当事者が2人の場合は2通の原本が作成され、契約当事者が3人の場合は3通の原本が作成されることになります。

英文契約書の最後に、IN WITNESSETH, the parties have caused this Agreement in duplicate to be executed by their duly authorized officers or representatives on the day and year first above written.と記載があるのは、当該契約書が複数作成されたことを記載しているものです。

FAXによる英文契約書への調印

但し、国際的な契約においては、当事者が異なる国に所在していることも多く、全部の当事者が一堂に会して契約書に署名するというのが難しい場合も多く、FAXで調印するということも多くあります。

例えば、アメリカに所在するA社の代表者が契約書にサインしたものを日本のB社にFAXで送ってきて、反対に、日本のB社の代表者はサインした契約書をアメリカのA社にFAXで送付するという形です。この場合、当該契約書の内容に了解し調印したというB社の代表者の意思表示は、FAXマシーンによりA社に伝達されたことになり、反対にA社代表者の意思表示はFAXマシーンによりB社に伝達されたことになります。契約は両当事者の意思の合致により成立することになりますので、A社の意思表示とB社の意思表示のいずれか遅い方の意思表示が相手方当事者に到達した時点で契約が成立し、拘束力が生じることになります。

FAXによる英文契約書のサインの方法

FAXによる英文契約書のサインの方法としては、A社から送られたきたFAXをプリントアウトし、プリントアウトされた書面にサインしてFAXで送り返す方法と、A社の代表者が契約書にサインしてB社に送付し、B社の代表者は、それとは別に契約書にサインしてA社に送る場合があります。

前者の場合は、プリントアウトされた書類にA社の代表者のサイン(コピー)と、B社の代表者のサイン(オリジナル)の両方が表示されていることになります。一方、後者の場合は、A社からB社に送られてきた契約書には、A社代表者のサイン(コピー)のみが表示されており、反対にB社の代表者が送った契約書には、B社の代表者のサイン(オリジナル)が表示されていることになります。後者の場合は、そのまま二つの書類を保管することで問題ありませんが、A社から送られてきた契約書に念のためにB社の代表者のサインをしたうえで保管しておくということも考えられます。

PDFによる英文契約書の交換

最近は、FAXよりもeメールにより契約書の送付がなされることが多く、代表者がサインした契約書はPDFにしてeメールに添付して相手方に送付されることも多いと思います。このようにしてPDFで送付することも問題ありません。契約の意思表示として有効となります。

英文契約書の原本の交換

FAXからプリントアウトされたものは契約書のコピーにしかすぎませんので、心配がある場合には、その後に郵送等により原本を交換し(A社は代表者が署名した契約書の原本をB社にクーリエ等で送付し、B社は代表者が署名した契約書の原本をA社にクーリエ等で送付する)、相手方当事者が署名した契約書の原本の送付を受けた各当事者は、その契約書の原本に自ら署名することで、両当事者のサインのそろった契約書の原本を保管できることになります。

サインページのみの交換

英文契約書が数枚にわたる場合に、サインページのみFAXで送付し、両方の当事者の代表者がサインしたものを交換するということもよく行われています。このようにして好感されたサインも、当該契約に調印する当事者の意思が明確に表示されているということであれば有効となります。しかしながら、何度も契約条項の改定がなされている場合に、どのバージョンが、当事者が最終版として合意したものであるのかが分からなくなってしまう可能性もあります。また、契約調印後に契約条項の改ざんを行われたとしても、契約条項の改ざんが立証できなくなってしまう可能性もあります。

このような観点からは、サインページにのみサインして送付するのは適切ではなく、必ず全ページにイニシャルサインをして一体の文書であることを明確にしたうえで書類を送付するのが適切と考えます。なお、サインを行う最終ページには正式のサインがなされますので、イニシャルサインは必要ありません。

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