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インコタームズ2020とは

インコタームズとは

インコタームズ(正式名称は、International Rules for the Interpretation of Trade Terms)は、国際商業会議所(International Chamber of Commerce)(ICC)が、輸出入取引に関する基本的条件である危険負担の移転時期、費用負担、リスクの分配などを定めたものです。輸出入取引については各国の法令や慣習が異なるため、言葉の基本的解釈を統一しないと当事者間に誤解が生じ紛争を招く可能性があります。そこで国際商工会議所が、国際取引における基本的な用語の解釈を統一するために定めたものがインコタームズになります。当事者がインコタームズによることを明示している場合や、契約の文理上、インコタームズによると理解されていると解釈される場合には、当該用語の意味はインコタームズにより判断されることになります。

インコタームズ2020

インコタームズはこれまで1953年、1967年、1976年、1980年、1990年、2000年、2010年と繰り返し改定が行われてきました。今回インコタームズ2020が発表され、2020年1月1日から発行しています。これまで英文契約書でインコタームズ2010によると規定されていましたが、今後はインコタームズ2020によるとなります。

取引条件についての決定の重要性

外国から商品を輸入する場合には、商品の価格について合意する必要がありますが、その価格には、どの範囲までの費用が含まれているのかによって大きな相違が生じてくることになります。例えば、機械を1台100万円で購入するとしても、引き渡し場所がシンガポールの港であるとすると、その輸入に要する船賃(例えば20万円)は買主が負担しなければならないことになりますし、日本国内での輸送にかかる費用や、輸入に関する保険料も見込んでおく必要が生じてきます。場合によっては商品の代金が100万円であっても、輸送に関するコストが50万円ということになり、完全に原価割れという事態も生じてきます。反対に横浜港での引渡しが条件とされ、横浜港までの費用を売主が負担するとすれば、買主は横浜港での荷揚げ以降に生じる費用(例えば国内の運送賃)のみを負担すればいいことになりますので、買主の負担は極めて軽くなります。このように国際取引における価格条件は他の様々な条件とも絡んできますので、全ての条件を慎重に検討して採算性の有無を判断する必要が生じてきますし、その内容については契約書で明確に定めておく必要があります。

FOBとは

FOBとは、Free on Boardの略で、積出港での「欄干渡し」ということになります。FOBの取引では、売主は港で船に積み込むまでの費用を負担し、それ以降の費用(船賃、海上保険料、輸入関税、通関手数料)については、買主が負担することになります。売主としては、港までの陸上運賃は負担しなければなりませんが、船に荷物を積み込むことで費用と責任を免れることになります。海上輸送途中の商品の滅失や盗難などのリスクは買主が負担することになります。また、買主は、船賃や保険料、通関手数料などをすべて負担しなければなりませんので、商品の仕入原価としてこれらの費用も考慮しなければならないことになります。

CIFとは

CIFとは、Cost, Insurance and Freightの頭文字で、海上運送に関わるコスト、保険料、海上運賃について全て売主が負担する条件を言います。売主は船積書類(船荷証券、海上保険証券、商業送り状)を買主に提供して初めて義務を免れることになります。外国から商品を購入する場合、CIFの場合は、海上輸送費用や海上での事故に備えた保険料は売主の負担ですので、そのコストは売買代金の中に含まれていることになります。

CFR

CFRは、C&Fとも言われ、売主は船積み港で荷物を積み込むまでの費用と海上運賃を負担し、それ以降の保険料と海上でのリスクについては買主が負担する契約です。

FCA

Free Carrierの略で、運送に渡し条件のことを言います。輸出地の指定場所で買主の指定した運送人に貨物を引き渡した時に危険負担と費用負担が買主に移転します。航空輸送と海上輸送の両方に使われます。

ExWorks

ExWorksは、工場渡しともいわれ、売主の工場敷地内において商品の引渡しが行われる取引です。売主の工場から買主の倉庫までの運送料、保険料などは売主の国内での陸上輸送を含めて全て買主の負担となり、買主は自ら運送会社、保険会社などの手配を行う必要があります。また、通常の場合、売主の工場での引渡しによって商品の危険負担は買主に移転します。

インコタームズの条項のサンプル(FOBの場合)

Seller shall deliver and Buyer shall take delivery of goods on a FOB Yokohama basis as defined in INCOTERMS2020 as published by the International Chamber of Commerce. Upon such delivery, all risk of loss shall pass to Buyer, and title to the goods shall pass to Buyer only upon full payment thereof.

(訳文)国際商工会議所発行のINCOTERMS 2020所定のFOB横浜港の条件に従って、売主は本件商品を引き渡し、買主はその引き渡しを受ける。かかる引き渡しにより危険負担は買主に移転し、商品に対する所有権は本契約の代金が完済された時点で買主に移転する。

インコタームズの条項のサンプル(FCAの場合)

Delivery of Products shall be FCA, FedEx, unless otherwise agreed upon by the parties in writing or e-mail communication. Risk of loss shall pass to Buyer upon delivery of Products.

(訳文) 商品の配送は、当事者間で書面やeメールのやり取りにより別途合意がある場合を除き、フェデックスの運送人渡しとする。商品のリスクは引き渡しと同時に買主に移転する。

インコタームズの条項のサンプル(Ex Worksの場合)

Unless otherwise agreed, delivery shall be ‘ex works’. The Buyer is obliged to take delivery of the goods bought at the time they are delivered to the Buyer, or at the time they are made available to the Buyer in accordance with the contract. If the Buyer refuses to take delivery or fails to provide information or instructions required for the delivery, the goods will be stored at the Buyer’s risk. In that case, the Buyer will owe all additional costs, including the storage costs in any event.

(訳文)別途定めのある場合を除き、引き渡しはEx Worksの方法によるものとする。買主は買主に提供された時、又は本契約書に基づき買主に提供可能となった時に商品の引き取りを行う義務を負う。もし買主が引き取りを拒否し、又は引き渡しに必要となる条件や指示の通知を怠った場合は、商品は売主の倉庫で、買主の負担により保管される。この場合、いかなる場合であっても、保管費用を含め、追加で発生した費用を全て買主が負担するものとする。

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