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サービス契約書(Service Agreement)について教えてください

サービス契約書(Service Agreement)とは

サービス契約書は、当事者の一方が、他方当事者に対して、特定の役務(サービス)を提供し、相手方当事者が役務提供に対する対価を支払うことを約束する契約書です。サービス契約書は広くサービスの提供を約し、これに対する報酬の支払いを約束するものですので、その内容には、製品の保守を行う契約、マーケティング活動を代行して行う契約、コンサルティング業務を行う契約、マネージングディレクターとして活動する契約、M&Aの対象会社を探索する契約、不動産の売買の仲介契約、弁護士との間に締結する法律顧問契約様々なものが含まれます。

このようにサービス契約書のカバーする範囲は非常に広くなりますので、契約ごとに契約書の名前が付けられていることがあります。

例えば、外部のコンサルタントや専門家を雇う場合には、Consulting Agreementや、Consultant Service Agreement、Contractor Agreementなどと表記されます。コンサルタント業務としては、ウェブの制作を請け負ったり、会計業務を行ったり、経営指導を行う場合、広告や販売支援を行う場合などがあります。

マネージングディレクターや役員として人を採用する場合、会社の意思としては雇用契約ではなく、委任契約の趣旨で契約を締結していることが多いと思われます。契約の名称としては委任契約又は業務委託契約となります。Employment Agreementではなく、業務委託契約であることを明確にするためには、Service Agreement、Engagement Agreement、Contractor Agreement、Managing Director Agreementなどと表記することが考えられます。

また、弁護士との契約については、Engagement Agreementの言葉が広く使われます。

Contents of Service

サービス契約書は、サービスの提供とこれに対する対価の私費洗いを約束するものですので、提供するサービスの内容を具体的に記載する必要があります。サービスの内容については、scope of works(作業の範囲)という言葉を略してSOWと言われることも多くあります。

契約書作成時点で内容が未確定の場合は、Contents of Services shall be provided in Attachment A.(提供するサービスの内容は、別紙A記載の通り)というような記載方法にし、内容が決まった段階で、別紙の内容を順次補充、改定していくことも考えられます。

サービスの記載例

The Company requests A Corporation to provide the Company its consulting service with regard to finding a target as a partner of the Company and A Corporation agrees to provide the Company with such service.

(訳)本会社は、A会社に対して、本会社のパートナーとなる対象企業の探索を依頼し、A会社はかかるサービスを本会社に対して提供することに同意した。

サービスの記載例

During the term of this Agreement, the Company shall render the following services to Client in order to promote the sales of the products.

  1. Select appropriate media;
  2. Make press release;
  3. Provide advices for public relation.

(訳)本契約の期間中、本会社は、クライアントに対して、製品の販売促進活動として次のサービスを提供するものとする。

  1. 適切なメディアの選出
  2. プレスリリース
  3. 公告についてのアドバイスの提供

サービスのレベル

サービスの記載については、提供するサービスの内容だけでなく、納期、品質、仕様、条件、納品場所、費用負担などについても詳細に記載されることもあります。

The consultant shall faithfully and diligently perform such duties as are specified in Attachment A and the requests and instructions given by the Company. The consultant shall perform his duties by himself in a professional manner so as to enhance the Company’s reputation for excellence.

(訳)コンサルタントは、別紙Aに記載された職務及び会社から要求又は指示された業務について誠実に勤勉に遂行するものとする。コンンサルタントは会社の評価を高めるために、プロフェッショナルとして自分自身で職務を遂行するものとする。

報酬の支払い

提供するサービスの対価としてどのような支払いをなすべきかについては、サービス契約の中心となる重要な問題です。報酬の決定は当事者でどのような合意がなされたかによります。また、報酬については、後日の紛争を回避するため、金額だけでなく、報酬の支払方法として、一時払い、分割払い、前払い、後払い、条件付支払いなどのうち、どのような支払い方法にするかについても明確に定めておく必要があります。

報酬については、定額報酬、成功報酬、タイムチャージ制による報酬などがあります。定額報酬は、毎月一定額を支払うとか、3回に分けて定められた金額を支払うというような金額の決め方です。成功報酬はcontingency feeとも呼ばれ、成功した場合にのみ報酬が発生するものです。不動産の仲介業務やM&Aの買手候補者の探索業務などがこれに当たります。タイムチャージ制は、サービスの提供者が実際に使用した時間に時間単価を乗じた金額を請求する方式になります。

固定報酬の場合の報酬の記載例

In consideration of the Services rendered by the Company under this Agreement, Client shall pay to the Company a fee in the amount of JPY1,000,000.

(訳)本契約書に基づき会社が提供するサービスの対価として、依頼者は、会社に対して100万円の報酬を支払う。

成果報酬の場合の報酬の記載例

Contingency Fee(成果報酬)とは一定の条件をみなした場合という意味で、契約がまとまるなど成果が出た場合に初めて報酬が発生するパターンです。Contingency契約の場合、成果が出ない限り報酬が発生しません。

In the event that Client enters into an agreement with the Target as a result of Company’s service hereunder, Client shall pay 20% of the annual contract money (hereinafter referred to as the “Contingent Fee”).

(訳)本契約書に基づく会社のサービス提供により依頼者が対象会社と契約締結に至った場合、依頼者は年間契約金額の20%(以下「条件付き報酬」という)を支払う。

前金の支払い

Client shall pay $10,000 (hereinafter referred to as the “Advance Payment”) to Company within one month after the effective date based on the invoice issued by Company. The Advance Payment covers following items:

  1. Necessary fees for preparing the legal documents;
  2. Travel expenses and accommodation

(訳)依頼者は、会社が発行する請求書により、契約締結から1か月以内に、会社に対して1万ドル(以下、「前金」という)を支払う。前金は以下の項目に対して支払われる。

  1. 法律文書の作成に要する費用
  2. 旅費及び宿泊費

当事者の契約関係

サービス契約は、民法の委任契約や請負契約に相当するものや特定の業務の遂行を委託するもので、雇用契約とは異なり、契約に定められた期間の満了により契約関係が終了することになります。一方、マネージングディレクターを業務委託契約で任用する場合や、ホームページのデザインなどの請負業務を会社の内部で作業してもらうような場合には、雇用契約との境界が明確でなくなってきます。雇用契約か業務委託契約かは、基本的には契約の条項によるのではなく、事実上の関係がどのようなものであるかによって判断されます。例えば、会社の指揮命令に服している、一定の業務時間について会社に拘束されている、職務遂行の仕方に自由度がないなどの場合には、業務委託契約ではなく、雇用契約であると判断される可能性があります。このように雇用契約であるかどうかは業務遂行が実際にどのように行われているのかによって判断されることになりますが、英文契約書の中では、少しでも雇用契約とみなされるリスクを軽減するために、雇用契約でないことを明確にするための規定を設けることも多くあります。

The Contractor shall provide the service as an independent contractor and not as an employee.

(訳)請負人は、独立した請負人としてサービスを提供するものであり、従業員としてサービスを提供するものではない。

This agreement is a fiduciary service agreement and shall not be considered as an employment agreement under the Labor Standard Law in Japan.

(訳)本契約は、信任関係に基づくサービスの提供契約であって、日本の労働基準法による雇用契約とはみなされない。

贈収賄行為の禁止

アメリカのFCPAやイギリスの反収賄法(アンチ・ブライバリー法)では、域外適用が規定されており、アメリカやイギリスに関係ある法人が贈収賄行為に関与した場合は、多額の課徴金を課すこととしています。日本でも、刑法や不正競争防止法により贈収賄行為に対して罰金が科せられることが明確になっています。また、アメリカのFCPAでは、業務委託を受けた受託者が贈収賄を行った場合にも、委託者について贈収賄の課徴金を課すことになっています。外国の法人や個人に対して業務委託を行う場合は、その受託者が外国の公務員に対して賄賂を供与することを明確に禁止しておくことが重要です。

Either of the Parties hereto shall not, and shall cause its employees, agents, consultants or subcontractors or their employees, agents or consultants not to (a) use any funds for unlawful contributions, gift or entertainment or for other unlawful expenses or (b) make any unlawful payment to foreign or domestic government officials or employees or to foreign or domestic political parties or companies, whether or not such contributions, gifts or entertainment, expenses or payments are facilitation payments.

(訳)いずれの当事者も、自ら、又はその従業員、エージェント、コンサルタント、又は下請人、これらの従業員、エージェント、またはコンサルタントが、(a)違法な献金、贈与、娯楽又はその他の違法な支出のために資金を使用せず、(b)国内外の公務員又は従業員、または国内外の政党または会社に対して、かかる献金、贈与、娯楽、支出、支払が職務執行の対価であるかどうかにかかわらず、違法な支出をしてはならない。

Anti-Social Forces(反社会勢力排除条項)

業務委託契約において相手方当事者が贈収賄行為をしないことだけでなく、相手方当事者が反社会的勢力と関係しないことも重要となります。そこで、サービス契約書(コンサルタント契約書)の中に反社会的勢力排除条項を入れておくことも検討する必要があります。

1 Each party represents, warrants and covenants that;

  1. It is not a member of an anti-social force, a corporation which has relationship with anti-social force, corporate racketeer, or associate member of anti-social force (“Anti-Social Forth”);
  2. Its officers and directors are not the member of Anti-Social Forth;
  3. It does not allow to use its name to Anti-Social Forth, or enter into any contract with Anti-Social Force.

2 Each party further represents, warrants, covenants that during the term of this Agreement it does not conduct by itself or make third party conduct the following acts;

  1. To use threatening behavior or violence to the other party; or
  2. To obstruct the business of other party by force or fraud, or damage reputation of other party

3 In case one of the party breach any of the first paragraph or second paragraph of this Article, the other party may immediately terminate this Agreement without any notice

(訳)反社会的勢力排除

1 各当事者は、次の事項について表明し、保証し、約束するものとする。

  1. 自己が暴力団、暴力団に関係する企業、総会屋、暴力団の関係者(以下「反社会的勢力」という。)の構成員でないこと
  2. その役員及び取締役が反社会的勢力の構成員でないこと
  3. 反社会的勢力に名称の使用を許し、その他反社会的勢力と契約を締結するものでないこと

2 各当事者は、本契約の期間中、自ら次の行為を行わず、また第三者をして次の行為を行わせないことについて表明し、保証し、約束する。

  1. 相手方に対して脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
  2. 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為

3 当事者のいずれかが本条第1項又は第2項に違反した場合、相手方当事者は、何らの催告を要せずして、直ちに本契約を解除することができる。

競業避止

コンサルタントが会社で業務を行う際に入手した情報を用いて競業会社に対して類似のサービスを提供する場合には、依頼者である会社の情報が競合会社に移転してしまい、会社は重大な損害を被る可能性があります。そこで、マネージャーや会社の業務の一部を遂行してもらうような業務委託契約を締結する場合には、競業避止義務に関する規定を入れておくことは有意義です。

The Consultant agrees that during the term of this Agreement and for two years from the termination or expiration of this Agreement, he shall not engage in or enter the employment of or have any interest in, directly or indirectly, any other person, firm, or corporation or other entity engaged in the business or related business activities in Japan, which in the opinion of the Company is competitive with the business conducted by the Company. It is further agreed that, if the Consultant violates this provision, he shall indemnify the Company for damages.

(訳)コンサルタントは、本契約の有効期間中及び本契約の満了日または契約解除日から2年間の間、会社の意見によれば会社と競業する事業を行っていると見なされる人、事業者、会社、その他の法人と、直接または間接的に、請負契約又は雇用契約を結び、その他関係を持ってはならない。もし、コンサルタントが本契約条項に違反した場合、コンサルタントは会社に生じた損害を賠償するものとする。

一般条項

Service Agreementにおいても一般条項の記載は重要です。特に、サービス契約の履行に際して当事者から重要な秘密情報が相手方当事者に対して開示されることがありますので、秘密保持契約条項については詳細に記載することがあります。なお、秘密保持契約条項については、別途秘密保持契約書を締結し、そちらの中で定めることも多くあります。その他の一般条項の内容は他の契約書と特に異なるところはありません。

なお、国際取引契約については、準拠法と裁判管轄に関する規定を入れることが一般的です。サービス提供契約が請負契約や委任契約とみられる場合は、当事者の合意による準拠法の選択が可能となりますが、労働契約としての性質を有する場合は、労務の提供に関する部分については、労務提供地の労働法規が強制適用され、合意による準拠法の選択が排除される可能性があります。この点からも、雇用契約に該当しないかどうかについての慎重な検討が必要となります。

準拠法と管轄

This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan. Any dispute arising out of this Agreement shall be subject to the exclusive jurisdiction of the Tokyo District Court of Japan.

(訳)本契約は日本の法令に準拠し、日本の法令に基づいて解釈されるものとする。本契約書に基づき発生する全ての紛争については、日本国東京地方裁判所の独占的裁判管轄に服するものとする。

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