最終更新日:

First Refusal Right(先買権)について教えてください。

First Refusal Right(先買権)とは

First Refusal Rightのことを日本語で先買権と言います。First Refusal Rightは、閉鎖会社において株主の一人が株式を第三者に対して売却しようとする場合に、第三者に対して売却するのと同じ条件により他の株主がその株式を買い取ることが出来る権利です。その権利の名称にはRefuse(拒絶)の言葉が使われていますので、名称からは拒絶することが出来る権利ということになります。実際には、株式の購入を拒絶するか購入するかを決定することが出来る権利(オプション)を有しているということになります。

First Refusal Right(先買権)の例

例えば、X社において株主Aが50%の株式を有しており、Bが50%の株式を有している場合において、Aが第三者Pに対してAが所有する50%の株式を3000万円で譲渡しようと考えている場合、残りの株主であるBが先買権を有している場合、Bは第三者と合意されたのと同じ条件(売買価格3000万円)でAからその株式を購入することができます。Bは株式を購入するオプションを有していることになります。

First Refusal Right(先買権)は合意によって生じる権利

First Refusal Right(先買権)については、法律に規定がある権利ではありませんので、当然にそのような権利が発生するわけではありません。当事者が合意した場合にのみその権利が発生することになります。通常はジョイントベンチャーなどで、相手方当事者がその持分を第三者に勝手に譲渡されると困るというような場合に、株主間契約書(Shareholders Agreement)やジョイントベンチャー契約書(Joint Venture Agreement)の中にこのような権利が規定されることになります。

First Refusal Right(先買権)の合理性

ジョイントベンチャーや共同事業を行っている場合など、少数の株主が共同で事業を行っている場合には、誰がその会社の株主であるかは他の株主にとって重大な関心ごとと言えます。もし他の株主が第三者に対して自由に株式を譲渡することが出来るとすると、残りの株主にとっては予期せぬ第三者が株主として登場し不測の損害を被ることになってしまう可能性があります。このような状況を避けるための方策として、他の株主の同意がない限り株式の譲渡ができないとする方法もありますが、この場合には譲渡の著しい制限となってしまいますので、譲渡したい株主の譲渡の権利を奪ってしまうことになりかねません。そこで、株主がその所有する株式を第三者に譲渡すること自体は認めるが、株式を譲渡しようとする場合には、先に残りの株主に当該株式を買い取るか、譲渡に承認するかの検討の機会を与え、第三者への譲渡に反対するのであれば、自ら株式を購入して第三者の出現を拒否できるようにしています。その結果、譲渡しようとする株主の利益と残りの株主の利益が適切に調整されることになります。

First Refusal Right(先買権)の通知

Bが第三者よりも先に当該株式を購入することができる権利を有していたとしても、Aが株式を第三者に対して譲渡しようとしていることを知らないと、Aから株式を購入するという権利を行使する機会がないことになります。First Refusal Right(先買権)の制度設計においては、株式を譲渡しようとする株主が、First Refusal Right(先買権)を有する人に対して、株式譲渡の意思を通知することが極めて重要となります。このような通知は通常は文書によりなされ、譲渡しようとする株式数、譲渡価格、譲渡の日にち、譲渡の相手方等の条件が記載されることになります。First Refusal Right(先買権)を有する当事者は、かかる通知の内容を見て、株式を購入するかどうかを決定することになります。

First Refusal Right(先買権)の契約条項のサンプル

If any of the shareholders wishes to sell, transfer, dispose or pledge the shares in the Company, such shareholder (the “Selling Shareholder”) shall first offer to sell and convey such shares to the other shareholder before selling, transferring, disposing or pledge of such shares to any third party. Such offer shall be in writing, and shall set forth the number of shares to be sold, the purchase price to be paid, and all other material terms and conditions of the sale, transfer or other disposition. Within thirty days after the delivery of said offer the other shareholder shall deliver to the Selling Shareholder a written notice either accepting or rejecting the offer. Failure to deliver said notice within said thirty days conclusively shall be deemed a rejection of the offer.

(訳)株主らのいずれかが会社の株式の売却、譲渡、処分または質入れを希望する場合、当該株主(以下「売却株主」という。)は、当該株式を第三者に売却、譲渡、処分または質入れする前に、まず他の株主に対して当該株式の売却および譲渡を申し出るものとする。当該申し出は書面により行われ、売却される株式数、支払われる購入価格、および売却、譲渡またはその他の処分に関するその他のすべての重要な条件が記載されていなければならない。当該申し出の交付後30日以内に、他の株主は売却株主に対し、当該申し出を受諾または拒絶する旨の書面を交付しなければならない。当該30日以内に当該通知がなされない場合は、最終的に当該申し出の拒絶とみなされるものとする。

 

執筆者情報

栗林 勉

Tsutomu Kuribayashi

栗林総合法律事務所の代表であり、米国ニューヨーク州の弁護士資格を有する国際弁護士。国内企業法務の他、国際的紛争の解決や国際取引に関する契約書の作成、中小企業の海外進出支援などの業務を幅広く扱っている。

英文契約のQ&A一覧に戻る