最終更新日:

without regard toの英語表現について教えてください。

without regard toの意味

英文契約書の中でよく出てくるwithout regard toという表現は、「~にかかわらず」と訳されます。英文契約書の中では、without regard toの表現は準拠法に関する規定の中で、抵触法に関するルールの適用を排除するという文脈で使われます。すなわち、without regard to conflict of law rules(抵触法のルールに関する規定にかかわらず)という意味で使われることが多くみられます。

conflict of law ruleとは

国際取引において、複数の国の法律が関係する場合に、どこの国の法律を適用するかを定めたルールが抵触法ということになります。例えば、日本とフランスとの間で売買契約をした場合に、日本の法律が適用になるのか、フランスの法律が適用になるかを定めるルールで、それぞれの国の国際私法と呼ばれます。日本では、「法の適用に関する通則法」においてこのルールが定められています。一方アメリカは、州ごとに法律を異にしています。そこで、州を超えた取引をする場合にどの州の法律を適用するかを詳細に定めたルールが出来上がりました。このようなルールをコンフリクト・オブ・ローと言います。国際的な取引契約書の中で、準拠法に関する合意がなされた場合は、私的自治の原則により、そのような合意も有効であり、当事者は合意の内容に拘束されるのが原則です。但し、抵触法に関するルールの適用があり、当事者の合意内容に変更が加えられる可能性があるのかどうかは必ずしも明確ではありません。そこで、準拠法に関する規定の中で、「抵触法のルールに拘わらず」と記載して、抵触法に関するルールの適用がないことを明確に規定しておくのが一般的です。このような場合によく使われるのが、without regard toという用語になります。

without regard toのサンプル

This Agreement shall be governed by and interpreted in accordance with the laws of the State of New York without regard to its conflict of law principles.

(訳)この契約は、抵触法の原則に拘わらず、ニューヨーク州法に準拠し、同法に従って解釈されるものとします。

without reference toを用いた表現

準拠法に関する規定の中で、without regard toに変えて、without reference toという言葉が用いられることもあります。意味は同じで、「~に言及することなく」とか、「~に拘わらず」という意味になります。

This Agreement is governed by the law of Japan without reference to the United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Products (CISG/Vienna Convention).

(訳)本契約は、日本法に準拠するものとし、国際物品売買契約に関する国連条約(CISG/
ウィーン売買条約)は適用にならない。

執筆者情報

栗林 勉

Tsutomu Kuribayashi

栗林総合法律事務所の代表であり、米国ニューヨーク州の弁護士資格を有する国際弁護士。国内企業法務の他、国際的紛争の解決や国際取引に関する契約書の作成、中小企業の海外進出支援などの業務を幅広く扱っている。

英文契約のQ&A一覧に戻る